23日(金)~26日(月) 読売新道
<山行報告> 北アルプス・読売新道
<日程> 2019年8月23日(金・夜)~26日(月)
<メンバー> 2名
8/24:高瀬ダム6:00~三角点8:59~烏帽子小屋10:22~野口五郎小屋13:42~野口五郎岳14:11~野口五郎小屋14:25
8/25:野口五郎小屋5:00~野口五郎岳5:20~東沢乗越6:44~水晶小屋7:28~水晶岳8:18~温泉沢ノ頭9:08~赤牛岳11:15~鎖場14:05奥黒部ヒュッテ16:00
8/26:奥黒部ヒュッテ7:30~平ノ渡10:20~平ノ小屋10:35~ロッジくろよん13:44~黒部ダム14:25
三度目の正直とはよく言いますが、三回目のリベンジでようやく念願の読売新道を歩く事が出来ました。すっかり新しく大きなバスターミナルとなったバスタ新宿を23:05に出発し、翌朝5時に信濃大町駅に到着。予約してあるタクシーに乗り込み登山口となる高瀬ダムへ着いたのが6:00頃でした。8月上旬に行った薬師岳の時は、朝から暑かったのですが三週間経つとこんなにも気温が下がるのかと思う程、高瀬ダムで身支度をしている時は寒く感じました。ブナ立尾根を登るのは、今回で4度目。でも登る度に吊り橋まで行く河原のロードが変わっていて、でも毎回少しずつ標識が分りやすくなっています。ブナ立尾根は北アルプス三大急登などと言われていますが、きちんと整備されていますので12/12から1/12まで標識を目当てに黙々と登って行けば案外あっさりと烏帽子小屋に着いてしまいます。烏帽子小屋から先は砂礫の稜線を絶景を楽しみながら歩きます。今回はお天気に恵まれたお陰で360℃の景色に気分もアゲアゲです。野口五郎小屋までのロングコースも苦にならずに歩けました。野口五郎小屋に早く着いたので、チェックインしてから空身で野口五郎岳へピストンしました。お天気の良い時の北アルプスの景色は最高ですね。何度来ても良い所です。
翌朝、今日はメインの読売新道です。地図上のコースタイムでは10時間50分。水晶岳までは行った事はあるものの、水晶から先の赤牛岳~読売新道は未踏の地。どんな所か不安はありますがとにかく歩くのみ、と気合を入れて身支度をしました。出発しようと玄関を出ると、うっすらと霧雨が降っています。天気予報では雨マークなんてなかったのでお天気の心配はしていなかったのですが、雨がだんだん強くなってしまったので玄関でカッパを着て暫く雨が止むのを待ちました。5時少し前に雨が止み、少し明るくなって来たので出発しました。雨は止んだのですが、風がとても強く、野口五郎岳から真砂岳~東沢乗越あたりまでは風に負けない様に踏ん張って歩きました。残念な事に辺はガスガス。真っ白けでどこにいるのか分からない感じの稜線を黙々と歩きました。風に負けずに歩き続け、水晶小屋がやっと見えて来ました。私はこの水晶小屋が見えてからの登りがとても長く感じます。もう少しで着きそうなのに結構な登りが続いて、やっと水晶小屋に到着。ここで小休止。野口五郎小屋でご一緒だったソロの男性や、昨夜から10時間以上も歩き続けていると仰る男性等と山のお天気の事などでおしゃべりをしてガスガスの景色を恨めしく思っていました。水晶小屋を後にして、水晶岳へと向かいます。水晶岳からは天気が良ければ、皆さん憧れの雲ノ平がよく見えます。「今日はガスガスでダメかなぁ~!」などと言いながら登って行きました。「先日、“天気の子”と言う映画を観たんですよ、主人公の少女が祈るとその周辺だけ天気になるっていう映画。私も天気の子になりたい、祈ってみようかな~!」なんて冗談を言っていたら、水晶岳の頂上に着く頃にだんだんと青空が広がって来たのです。向こう側には黒部五郎岳や雲ノ平、そして小さく雲ノ平小屋。それから赤い屋根の高天ヶ原山荘。まるでミニュチュアの模型を見ている様によく見えました。急に雲が晴れて来たので、小屋で一緒だったソロの男性で抜きつ抜かれつしながら登って来た方から、私達の事を“天気の子”と呼ばせて下さい、なんて言われて、素晴らしいい景色にみんなで喜び合いました。ここまで来たらやはり雄大なアルプスの景色を見たいですからね。水晶岳で景色を堪能してからいよいよ本命の赤牛岳です。赤牛岳とはよく言ったもので山容が赤くて牛が寝ている様にドーンとおおきな山塊です。赤牛岳までの稜線は花崗岩の大きな岩がゴロゴロしている歩きにくい所などもあり、なかなか歩きごたえがありました。ペンキの赤丸や白丸を見落とさない様に気を付けながら歩き進むと、赤牛岳に到着。赤牛岳から先の読売新道は8/8から1/8まで道標があるのですが、途中で壊れていて見落としてしまったのでしょう6/8から標識が見つかりました。途中、雷鳥の親子も私達を出迎えてくれて長い長い道中も楽しむ事が出来ました。読売新道も5/8を過ぎた辺りから樹林帯になります。今朝、少し雨も降ったので、いく分ぬかるんでいる所もありました。自然林の中を作った道なので大木を乗り越えたり、下をくぐったりと自然の障害物レースと言った山道を全身を使いながら歩きます。格闘すること3時間、やっと今日の宿泊先、奥黒部ヒュッテに着きました。宿には一番乗り。誰もいないので、真っ先にお風呂に入ってさっぱりさせて頂きました。夕食は18:00です。それまでのんびりと部屋で疲れを癒しました。
翌日、今日は下山です、と言っても、そう標高差はありません。黒部ダムまでは黒部湖を船で対岸へ渡らなければなりません。渡船場まで、2時間程アスレチックのような山道を歩きます。手作りの丸太の梯子を幾度となく渡り、10:20発の船に乗り込みました。お天気が良いので、青い空が湖面に映ってとても綺麗でした。予定通りに黒部ダムに着き、今回の天空のトレイルは終了。下山後はいつも通りに薬師の湯で汗を流して帰路に着きました。
今回の読売新道のルートは、途中、小屋もないしエスケープルートもない長い稜線なので、お天気恵まれないと歩くことは出来ないルートだったと思います。お天気や日程、体調等々、色々な偶然が重なって登って来れた山行は、まさに一期一会だと思いました。
また、素敵な一期一会の山旅が出来る事を楽しみにしています。