30日(土)米子沢~巻機山
メンバー:K田L、B東、S能、M山(記) 天気:曇り(時々雲間に青空、一時霧雨)
コースタイム:桜坂駐車場5:21~6:30(30m滝)~6:47(3段40m滝)~8:55上部ゴルジュ帯入口~9:50大ナメ滝~
11:40二俣~12:37巻機山最高点~12:51巻機山頂上標識~13:10巻機山避難小屋14:00~15:53桜坂駐車場
前夜に出発、K田さんのスーパードライビングテクニックで快調に桜坂駐車場に到着。舗装された有料の広い駐車場
には数台しかおらず停め放題、きれいなおトイレも完備され快適です。車中で3時間弱仮眠を取り、入渓ポイントがすぐ
のため沢靴、ハーネス、ヘルメットを装着、真夏の奥多摩とは違い9月末とはいえ新潟県、かなりの水の冷たさや寒さ
が予想されるのでサーファーのS能さんにドライスーツをお借りして人生初装着、身支度を整えていざ出発。今回は米
子沢から巻機山を直登するコースです。
水の全くない大きなゴロゴロ岩の沢を歩きます。30分と歩かない間に暑がりの私はすでに汗だく。どうもお借りしたド
ライスーツが冬用の暖かなもののよう。熱中症になりかけやむなく上半身を脱ぐことに。なかなか脱げず苦戦しました
が、ああ、涼しい。ほどなくして沢が現れ遡行開始。水量の豊富な滝に立派な釜がいたるところにあります。首までのウ
エットスーツを着ているS能さんがドボン!足は届かないそう。私は飛び込む勇気はないけれど、ところどころ腰近くま
で水に浸かるところではドライスーツのおかげで冷たさは全く感じないのでザブザブ行けました。
米子沢の滝は奥多摩と違って1つ1つが桁違いの大きさです。だいたいの滝はそのスケールの大きさと寒いのでシャ
ワークライミングはせずに高巻きします。しかし高巻きの道がこれまた険しい。踏み跡があるのかないのかくらいの道
で、頼りない草木を掴んで行かなければ滑って滝壺までドボンな感じです。ようやく1つ滝を越えると、ナメがあって、ま
た大きな滝という繰り返しです。ナメは平和そうに見えて実はツルツル岩で沢靴を履いているのにめっちゃ滑ります。前
半早々足を滑らせてそのまま3メートルほど流されてしまいました。運良く途中で止まりましたがそのままだと2〜3回軽
くバウンドした後に釜にドボンでした。スリングで引き上げてもらい事なきを得ましたが滑るってほんとに怖い。ここまで
来たらもう遡行を続けるしかないので何とか自分を奮い立たせ頑張りますが、自然と涙がちょちょぎれます。B東さん
から心折れてる?と、わかりますか!そうなんです!山に限っては滅多なことでは折れない心がポッキリ、越後三山山
行に続いて2度目のポッキリでした。いくつかの滝は高巻きせずに登ることになりましたが、いざ目の前に立つとハンギ
ングしているように見えるというかそそり立ち、足元もヌルヌル滑るのでとても登れる気がしません。もう1回滑っている
し、落ちるとただ事では済みそうにないのでここは安全に。先にノーロープで登っているK田さんにアイコンタクトして横
に首を振ります。S能さん、B東さんはロープなしで生き生きと楽しそうです。みんなすごい。
そうこうしているうちにかなり水量も減り二股が現れました。左は99%の人が進む避難小屋への道。右は山頂への道
です。お天気が微妙だったので巻く気満々だったのですが、なんとS能さんが初巻機山とのこと。せっかくなので右コー
スへ。徐々に大きな滝がなくなり沢幅が狭く水量が減っていきます。ふと顔を上げると植生が変わり一面の草黃葉に。
先頭を行く神田Lが振り返り、金色の草黃葉をバックに風に吹かれながら言います「ここまで来ないと見れない景色だ
ぜ」と。かっこいい!折れた心が徐々に元気になっていきます。
幅の狭くなった沢の水がなくなり、周囲の草が生い茂り背丈ほどに土がえぐられたような脆い岩土の急登になってい
きます。草黃葉の急斜面に上がりたいのですが草が滑り転がり落ちそうです。K田さんにスリングで引っ張ってもらい
ながらS能さんのバイルを地面に突き刺してようやく少し平らになったとろこまで登りました。ここからはツメです。道は
ないのでツルツル草に負けないように頑張って山頂を目指します。しばらく行くと登山道にぶつかりました。なんと、ちょ
うどそこが巻機山の最高点1967メートル地点だったんです!巻機山の山頂標識は最高点ではなく別にあります。K田
Lは計算の上だったのだそう、さすがです!完全遡行を成し遂げました。
稜線からの眺めは一面に草黃葉が広がり、まるでアルプスの少女ハイジにでもなったかのような気分になれる素晴ら
しい眺めでした。しかしかなり風が強いので山頂で巻き巻きしている集合写真を撮って早々に避難小屋へ下りました。
避難小屋で装備を解除しホッと一息。温かいカップ麺の昼食を取りました。下山は3合目の桜坂駐車場まで一般の登
山道を下っていきます。米子沢に比べたらへっちゃらです。
草黃葉とナメ滝という平穏なイメージで参加した米子沢は、ひとことで言うと「大キレットより怖いやん」という感想でし
たが、沢を登りきったあの素晴らしい景色は本当に美しく、頑張って遡行してよかったと思いました。たくさんロープを出
してくださったK田L、さりげなく温かく見守ってくださったB東さん、S能さん、ありがとうございました。