28日(土)~29日(日) 東北 八幡平・岩手山
+ メンバー K田(L)、M井、B東、T田、S能(記)
+ 装 備 日帰り夏山装備、麓のテン泊装備
+ コースタイム 一日目 7:20 八幡平登山口 7:37 八幡平 8:02 陵雲荘 8:42 八幡平登山口
美しい湖沼群と紅葉のみちのく路
東北岩手遠征。前夜発夜通し遠っ走りで朝イチに見返峠道に到着。我々は車中でウトウト寝つつ…
K田リーダー徹夜長距離運転いつもありがとうございます。
初日は八幡平へ。朝七時半前出発、一時間半弱でサクッと周回。東京は天気グズついているが、
岩手はスカッと晴れて最高の絶景をショートコースで堪能!
標高差120m上げ、アップダウンもほとんどなく手軽にこんな絶景が拝める百名山なんて!
石畳の道を色付き始めた紅葉など愛でてつつ進み、鏡沼、メガネ沼と美しく森と青空を映す沼面を堪能して、
ほどなく山頂。広大な湿原なのでピーク感は全くない(笑)
頂上周辺の広大な平原には九千年前から五千年前に発生した水蒸気爆発により多くの火口ができている。
その火口に水が溜まり、多くの火口沼を形成している。
そこからガマ沼、八幡沼へと周回していくと、石畳から木道へと変わり、どこまでも広がる湿原が草紅葉の橙色で
染め上げられ、散在する池塘や草花などと共に眼前いっぱいに広がる。これは大変気持ちが良い!!
伝説によると、桓武天皇の勅命で奥州蝦夷征伐に訪れた坂上田村麻呂は、山賊の残党を追う途中に八幡平にたどり着き、
その極楽浄土のような景色に感激した。そこで、戦の神である八幡神宮を奉り戦勝を祈り、
残党を討伐後に再度高原の八幡神宮を訪れ、戦勝の報告を行うとともに、この地を「八幡平」と名付けたとされる。
ただし、史実では坂上田村麻呂はこの地には至っていないとされる。
朝八時半に下山してしまったので近くの藤七温泉へ! ここがまた筆舌に尽くし難き名湯珍湯。内風呂も普通に入れるが、
野天はそこかしこに80〜90℃の源泉が湧き、広大な原野に段々畑様の野趣溢れる浴槽が点在する様相。
お湯もまた強烈な硫黄臭の白濁で成分が非常に強い。風呂の底は造成されておらず天然の泥が溜まり、
泥パックなども楽しめる。沸々と泡を立てて湧いている源泉感が堪らぬ。沸々に近寄ると熱い!!
いやぁ、燦々と降り注ぐ秋の日差しを浴びながらの朝風呂、最高である。
しかして、強烈な酸性を呈している様で目や鼻に湯が入ると強烈な痛み!これは堪らぬ、閉口である。
そして、昼前に上がり、チョロっと高速に乗り岩手山方面へ。街のスーパーで買い出しをして、
登山口にある馬返しキャンプ場へ。ササッと各自テントを張り、昼過ぎから宴会じゃァ!!
いつものように神田リーダーが美味いメシを繰り出す。呑んで食って大盛り上がりで暗くなるまで宴会は続く。
もう食えない、もう呑めない、というところでお開き。十九時に各自テントで就寝爆睡。
夜空に満点の星が輝く。明日も天気は良さそうである。
+ コースタイム 二日目 4:27 馬返し登山口 7:34 八合目避難小屋 9:06 岩手山
10:20 八合目避難小屋 12:41 馬返し登山口
東北随一の名山たる所以を噛み締めて
前夜からテン泊していた馬返しキャンプ場で夜中三時に起床。テントを撤収。車にテン泊装備を置いて、
日帰り装備のアタックザックを背負い四時半に出立。まだ真っ暗な中、ヘッデンで歩く。肌寒いが歩くとすぐ暑くなる。
ウィンドシェルを脱ぎTシャツで登る。
樹林帯のゆるい傾斜から徐々に斜度が出てきて五時過ぎに薄明るくなってくる。振り返ると北上平野の夜景が煌めく。
木段を登り玄武岩のガレ場が現れる頃には完全に明るくなる。ここからは麓の景色が一望できる。しかしこれはまだまだ序の口であった。
東の稜線から朝日が登る。雲が多いが隙間から御来光。街と御来光を同時に拝めるのは珍しい。幻想的にして神々しい。
やがて旧道(パノラマコース)と新道(フォレストコース)の分岐(2.5合目)に至る。眺望の良さそうな旧道で登る。
三合目までガレ場の樹林帯を登り、その上からは一気に展けて外輪山のリップまで岩場の急登をひたすら一時間半登り続ける。
これはキツい。しかし後方には北上平野の大展望がどこまでも広がり素晴らしい大絶景。南方の盛岡方面は低く
垂れ込めた雲海に満たされ、眼前には真っ赤なモミジなど紅葉が目を楽しませてくれる。ツラいが気持ちも盛り上がり
ヨシッやるぞ!と思えるのである。
やっと外輪山の縁まで登るとそこからは高低差のほぼない外輪縦走の態で、八合目避難小屋にはすぐに到着。
三階建屋の大変立派な小屋で、避難小屋だが、夏季は小屋番さんがおり、簡素な売店もあり、営業小屋と変わらぬ素晴らしい様態。
一泊千七百円の協力金。昨夜は五十名もの登山者が泊まったという。連休ともなれば百名もの人が押し寄せ大変賑わうとのこと。
停滞すると、冷たい風に晒され汗冷えも重なり、かなり寒い。ウィンドシェルでは全然凌げぬ寒さである。
熱いカップラーメンを掻き込みやっと人心地がつく。さあ山頂へ急ごう、まごまごしておるとまた冷えてしまうわい。
小屋の先は広大な平原、不動平になっており、これまた素晴らしい場所を通ることに。左を見上げれば外輪山の巍々とした
険峻な岩の稜線が連なり、その下、平原の奥には印象的な不動岩と不動平避難小屋が並んでいる。右を見ればこんもり嫋やかな
岩手山山頂が拝める。
さあ、最後のひと登り。火山特有のザレガレの急登を斜めに登る。お鉢に上がる。広大にして緲漠とした異星のような景色、
特異的にして圧倒的な光景が現出。二重外輪山のこのお鉢は薬師火口で、左に進むと最高峰の薬師岳(2,038m)が聳える。
この火口はさらに内側に、火口丘と内輪火口を抱える。こんもりとした妙高岳と、その下に巨大な恐ろしい裂け目があり、
それが最中心部の御室火口である。全くもって凄い光景だなァ。
お鉢を時計回りで進む。左下には西岩手山の巨大カルデラが一望できる(今いるここは東岩手山で、二つの火山が融合して
巨大な山体を形成している日本でも有数の大型成層火山の1つ)。古い火口湖のひとつ、神秘的な御苗代湖が遥か眼下にひっそりと
紺碧の湖水を湛えている。楕円形のカルデラの最奥は地獄谷の侵食により開析が進み、そうと言われなければ
外輪山だとは思えぬ様相と壮大な規模である。
最高峰の薬師岳に登頂。ここは不思議と無風で日差しもあり全く寒くない。記念撮影を済ませてお鉢巡り。
裏側には岩手神社奥之院があり、お詣りをして下山を開始。足早に避難小屋を通過、降りはほぼ休憩なしで一気に降る。
帰りは分岐を新道で降ってみる。樹林メインだが所々展望が開けて麓の景色が拝める。樹林だが、足場はガレザレで非常に歩きづらく、
どの道疲れることに大差はない。疲労が溜まる、足が痛む。しかし気合いで一気に降る。
三合目付近まで降りるとヘリがこちらに向かって一直線に飛んできて低空飛行ホバリングで何かを探している様子。
他の登山者に聞くと負傷者の救助ということだ。かなり長い時間すぐ眼下でホバリングしていたが、やがて飛び去る。
直後に現場を通過。急な岩場で転倒、脚を骨折したとのこと。確かにこれはひたすら足場は悪く滑りやすく
エゲツない長丁場なので転倒のリスクは高いよなァ、気をつけよう。
やっと下山し、キャンプ場の湧水で顔と靴を洗い、テキパキと装備解除。近くのユートランド姫神で風呂に浸かり、帰路へ。
車で八時間もかかるのだ。急げ急げの強行軍である。しかし昨日の藤七温泉が強烈過ぎて、本日の風呂も悪くないのだが、
何も感じぬ不感症のようになってしまったのはご愛嬌(笑)